waizuの観察記録や検証結果を公開しています

菌床の選択

昔に比べると菌床の売れ筋銘柄も変化してきています。
ブログの普及で情報量が増え、実績のあるものが選ばれるようになってきたこともあると思います。
安全に大きくできることが選択基準の第1位に来ると思いますが、価格を考慮したコストパフォーマンスや安定供給もポイントになるのではないでしょうか?
では、菌床の適正使用を考えた場合、各人が最も効果的な使い方ができているのでしょうか・・・?
この点も私が思案している事例の中のひとつです。
それには、管理する温度、詰め方、交換サイクル、添加剤の種類などもありますが、単にそれだけではありません。
エサ慣れの考慮、飼育途上での銘柄変更などは、どうなのでしょう・・・?
影響が出るのか出ないのか??

まず、エサ慣れですが、3世代を同じ銘柄で飼育した方が大きくなると言われています。
また、高添加剤の菌床でエサ慣れをさせれば、次世代はその高添加剤の環境に順応させて幼虫を大きくする飼育戦略も試みられています。

一方、途中での銘柄変更に関しては、よくこんな論調で説明されることがあります。
「途中で変更しても大きく羽化してきたので特に問題を感じない!」
しかしこれは、「親はたばこを吸っていたが、90歳まで生きたので、たばこに問題を感じない」との意見によく似ています。
結局、どちらも主観的な判断によるため正しいとは言えません。
上記の例では、途中変更しなければもっと大きく羽化したかもしれないし、たばこをやめていたらもっと長く生きることができたかもしれません。
やはり、客観的なデータに基づかない限り正しい判断とはなりません。
実は、このような主観的判断は、クワガタの世界では多く見受けられ、「卵での割り出し」「バクテリア継承のための手技」「産卵材の種類」などが羽化サイズに与える影響に関しても、最終的に良い結果が得られたことで問題なしとの結論に至っています。
多くのサンプルを使ってデータ採取を行い、数学的統計処理による検定まで行って有意差を示すことは難しいと思いますが、せめて同じ条件での比較対照群を置いてのアプローチが必要だと思います。
所詮、個人で出来ることは知れていますが、少しでも正しい検証スタイルで日々取り組むことが大切ではないでしょうか?
私は、今年の使用菌床のほとんどを♀親が飼育された銘柄と同じものに合わせ、途中での銘柄変更なしで行く予定です。
それは、よいと言われることは積極的に取り入れるスタンスであることもありますが、来年の3世代連続群と非連続群の比較試験の下準備も兼ねています。
オオクワ飼育は簡単で、飼育法もほぼ確立されてきたと思われていますが、エビデンスはまだまだそろっていないと思います。
少しでも最善の飼育法に近づきたい!そんな思いでいます。
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[ 2012/06/17 15:49 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)

オオクワ飼育データに隠れた背景因子

最近は、幼虫飼育データをはじめとして、オオクワ飼育に関連するデータが公開されているブログも増えてきました。
そんな中、新規ブリーダーも多く誕生し、情報を求めて閲覧し判断基準とされている方も多いことでしょう・・・。
データは数値化されているため客観的に優劣がわかりそうなものですが、データの陰に隠れた背景因子をよく吟味しないと、時として誤った判断を下してしまいます。

今日は、最近オオクワ飼育に参入された新規ブリーダーを対象に基本的なことを確認してみます。
この時期になると、2本目への交換時の幼虫体重が話題の中心となってきます。
90日交換で平均25gを超えたとか30gを超える個体も出現したなどのように・・・。
では、この結果をどう判断すればよいでしょう?
率直に「すごい!」と思ったり、自分の成績との違いは何だろう!?と思ったりするだけで終わっていないでしょうか?

実は、ここを正確に判断するには、背景因子をよく吟味する必要があることも知っておかねばなりません。
それは、単に90日交換と言っても菌糸ビンでの飼育期間が90日であって、孵化からの経過日数ではないこと、幼虫の成長速度は管理温度によって異なること、能勢YGなどは成長が早いこと、菌床を堅く詰め過ぎると体重が乗りにくい傾向となること、添加剤の多い菌床では体重が乗りやすいことなどです。

そうなれば、産卵セット期間はどれくらいだろう?割り出しまでの日数はどうだろう?割り出し即菌床飼育なのかマットでの一時保管を経ているのか?温度管理状況はどうなのか?、菌床の種類や添加剤の有無は?、菌床の詰め方どうなのか?血統的な特徴は?など様々な背景因子が気になります。
例えば、1本目90日交換で30gを超えたとしても、菌糸ボトルへの投入が初令初期と後期又は2令では15~20日近い差となる場合も出てきます。
管理温度が23~24℃と26~27℃では、成長全盛期の90日前後では相当な差となることが予想されます。
また、久留米と能勢では成長具合も違ってきます。
これらを総合的に判断できれば、90日で30gオーバーの実績が「すごい!」となる場合もあれば、「もう今後は伸びないのでは・・・?」あるいは「現時点では判断不能」となる場合もあるでしょう・・・。
現実には、個体差によって想定外の伸びや逆にショックを受けるほどの伸び悩みも経験することがあり、菌床飼育5~6ヶ月を待つまで正確な判断はできないのですが、背景因子を読み取れれば1本目で将来展望をある程度予測可能となるはずです。

ただ、実際には上記の判断材料に必要な事項まで記載されていることは少なく、わからない場合も多いと思いますが、データを見るときは、できるかぎり背景因子を吟味しながら評価すると上達への足掛かりとなり、視野も広がります。
そして、そういう見方ができるようになると、その検証方法の妥当性やデータの信頼性も判断できるようになり、多くの情報の中から正確な取捨ができるようにもなっていくと思います。

また、他所のデータを参考にすることも大切ですが、自身のデータを蓄積して基準を設けておき、その基準との比較検証により改善を図って行くことが上達への早道だと思います。

さて、私も近々HSボトル群の90日交換を行う予定です。
ただ、HSでの蓄積データがなく、比較するものがありません。
来年以降のためのデータ収集となるでしょうが、何グラム付近が出てくるか楽しみで仕方ありません。
大きくなり過ぎると2本目で伸びないのでは・・・との懸念も出てきますが、大きいのが出てくると単純に喜べます!!
いま、冴えない結果だったらどうしよう・・・との不安もありますが、このドキドキ感もたまりませんね!
順調な経過に期待感が膨らむか、それとも諦めの境地に片足を突っ込むか!?
果たしてどんな結果が待っているのでしょう・・・。
[ 2011/08/24 12:43 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)

様々なブリードスタイル

前回の記事は、データを集めることや検証方法に関して、みなさんに「こうでないといけない」と訴えたものでは決してないことを確認しておきます。
あくまでも、私の情報に対して過大評価のないようお願いした次第です。
以前どこかのブログに「waizuさんに聞けば何でもわかる」と記載してあったことがあり、おいおい^_^;と思ったこともあります。

とにかく、だれが何と言おうと、趣味の世界は各人の自由です。
データなどより感性と野生の勘を優先する人、よい血統と実績ある菌床を用意して後はガンガンに数をこなす人、純粋に昆虫飼育を楽しむ人など様々なブリードスタイルがあることでしょう・・・。
データにこだわるのは、実験好きの人達なのかもしれません。

全日本女子バレーは、高さとパワーでは外国勢に劣りますが、そのハンデを埋めるためにデータバレーを駆使しています。
私はブリードにおいて、飼育環境、飼育数、飼育時間などに制約があるため、ヘビーブリーダーとの溝を埋めたい一心で正確なデータ採取とその活用にこだわるようになりました。
データの活用でハンデを補いながらギネス争奪戦を楽しむのが私のブリードスタイルと言えるかもしれません。
もちろん、子供の頃から実験が好きだったこともスタイルに反映していると思いますが・・・。

新規にオオクワ飼育を開始されたブリーダーのみなさんのために、次回もう一回だけデータの話を採り上げる予定です。
表題は「オオクワ飼育データに隠れた背景因子」です。
あくまで初級講座なので、無視して頂いて結構です。
[ 2011/08/22 13:52 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)

オオクワデータの信頼性

私はブログ記事を書くとき、できる限りデータに基づく姿勢をとってきました。
その点を評価頂けることはうれしいのですが、私が言っていることはすべて正しいと思われていることもあり困ります。
正しいと言い切れない根拠は、私が採用したデータの信頼性にあります。
そもそも個体差の大きい昆虫飼育において、ばらつくデータから一定の答えを出すのは難しいかもしれませんが、人間の臨床データのように、数を集めれば必ず傾向性がつかめるハズです。
そんな個体差を含むこともデータの信頼性を疑問視させる要因ですが、本日のポイントは、データ採取のプロセスにおける信頼性です。

前回の記事のコメントの中で、私の幼虫頭幅データに関する考察は、後ろ向きな検証であると書きました。
まず、データの信頼性(エビデンスレベル)は、前向きな検証が勝ります。
研究者の間では、その試験が過去のデータを基に検証されているもの(レトロスペクティブな検証)とこれから試験計画を立てて実験背景を統一して行う試験(プロスペクティブな検証)に分けられ、プロスペクティブ(前向き)なデータの方が他の要因を排除して比較項目だけを直接比較できるため、信頼性は高くなります。

具体例を示すと、これからオオクワ幼虫の頭幅と羽化サイズのデータを採るとした場合、比較する個体は同腹、同じ菌床、同じボトル、同じ交換サイクル、同じ飼育場所、同じ温度管理、同じ全飼育期間のように背景を決めてスタートします。
一方、後ろ向きにデータを採取した場合、上記の実験背景が異なるところがあり、それがデータの相違に影響しているのではないか?との懸念もしなくてはなりません。

私の頭幅データの場合、菌床も温度管理を含めた飼育条件も大きく異なってはいませんが、背景を完全に統一できていない分、研究者からみれば「甘い!」と言われそうです^^;

また、比較実験の場合、無作為化されていないと信頼性は低下し、途中で私情を挟むこともタブーです。
例えば、元気な初令幼虫を選別して高額菌床に入れるとか、途中の体重で選別して大きいものだけVIP待遇にするとか・・・。
私も毎年少ないサンプルと制約のある飼育環境下でブリードしているため、どうしても選別傾向が出てしまいます。

本日のまとめですが、まだまだ私のデータは甘いと言うことです
^^;
決して嘘をついているつもりはありませんが、まちがいない!と言い切れるだけの自信ある考察ばかりではないことを心に留めておいてください。
これからは、データの信頼性の向上と切れのある考察を目指して行こう思いますので、よろしくお願い致します。
[ 2011/08/20 23:46 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)

主観の一人歩き

ちょっと歴史を振り返ってみようと、本棚の奥から専門誌のバックナンバーを持ち出し読んでみました。

こんな文章に赤線を引いていました。

ビン交換に使用する菌糸ビンは、詰めてから最低1ヶ月間は寝かしたビンを必ず使用している。これは、この段階でのエサの状態が幼虫にとって一番良い状態と考える為である。

当時は、「雑誌に書かれていること=真実」と何の疑問もなく受け入れていましたが、今読むと根拠のある話なのだろうか・・・と。
これが、寝かせたビンと新しいビンで無作為比較試験を行い、そのデータから優位性が示されましたとなれば、エビデンスのある飼育法との位置づけになりますが・・・。

上記の例では、飼育者個人の主観的意見にすぎません。
その後、だれかによって、しかるべき方法で検証されていれば、私の勉強不足ですので取り消しますが、今日はこの例から訴えたかったことがあります。
それは、雑誌の記事、クワブログでよくみられる主観的意見について、もう少しデータによる裏付けが欲しいということです。
データも正しい方法で検証しないと何の意味もありません。

何年か前のことですが、緑茶の渋み成分であるカテキンに強力な抗酸化作用が見つかり、緑茶には「がんを予防する効果がある」と発表されたことがあります。
そして、健康産業の材料となり、大々的に緑茶成分によるがんの予防作用が宣伝されていました。
その後、大規模な追跡調査が行われ、昨年その集計結果が出されましたが、緑茶をたくさん服用した群とそうでない群で、がんの発症率に有意な差は出なかったようです。

オオクワ飼育もやってみてナンボの世界!
主観の一人歩きは、三流評論家の域を出ないことを肝に銘じるよう、自分自身に言い聞かせたところです。
[ 2011/01/10 00:08 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)

情報の信頼性Part 2

今日は、データの信頼性を高めるために必要なことについて少々確認しておきます。
みなさんは、何を根拠に現在の飼育法を行っておられるでしょうか?
「他の人とは違ったことをしたい」なんて人もいるでしょうが、普通は「大御所と言われる方の見解」「クワガタ専門誌からの情報」「結果を出している飼育者の意見や経験」などではないでしょうか・・・?
確かにどれも正しい結果に近いはずです。経験的事例に基づいている訳ですから!

しかし、信頼性の程度には歴然と差があります。
まず、大前提としてデータ的な裏付けがあるかどうか!?
これがない場合、どんなに結果を出している人の意見であっても、信頼性の高い根拠とは言えません。
また、データがそろっていても、検証を行った者の先入観の介入、実験の手法、実験環境の質、実験者の手技的能力、無作為化の有無などにより、データの信頼性が大きく違ってきます。

人間の先入観は厄介なもので、例えば同じコーヒーでも容器のラベルを替えるだけで味覚が変化するとの実験結果が出ています。
赤ラベルをおいしく感じ、緑のラベルで酸味が強いと感じるようです。
私達も気づかないうちに、高額菌床はニオイがよいとか使用感がよいと感じ、超固詰めだから持ちがよいと色眼鏡で見ていることがあるのかもしれません。
本来なら、実験者が、比較対照群の違いを認識できない形での検証(二重盲検法)がよいのですが、クワ飼育においてそこまでのことは難しいでしょう・・・・。
実験方法や手技はセンスの問題でもあり、環境の違いも仕方のないこととして、1点だけ重要なことを確認しておきたいと思います。
それは、信頼性の高いデータにするには、無作為化が必要であるということです。

例えば、高額A菌床と実績があって汎用されているB菌床でどちらが大きくなるかを比較するとします。
指標は、幼虫時最高体重でも羽化サイズでも構いませんが、実験背景はできるだけ統一し、同じ時期に採れた同腹幼虫であること、同じ温度で同じ場所で管理されていること、できれば同じ容器のビンであることなどを考慮します。
問題は、菌糸ビンへの幼虫の投入方法です。
ここで、A菌床は高額なので★とならないよう元気そうな個体を選んで入れておこうとか、頭が大きく♂の可能性の高いものを高額菌床の方に入れておこうとか・・・これがダメです!!
これでは、投入時点で選別を行っていることになり、純粋な比較とはなりません。
投入時にAにするかBにするかをクジで決めたり、単純に割り出した順番に交互に入れていくなどの方法で、ランダムに投入しなければ、幼虫を対象とした正確なデータとは言えなくなるでしょう・・・。

みなさんも、飼育途中で2群の比較検証するときなど、不利と思える条件の方に選別漏れ群を設定したりされないでしょうか?
人情としてはそうなりますが、信頼性あるデータ採取の面からはNGで、せめて選別漏れ群の中で無作為に2群に分けるなどの配慮が必要です。
私もこれまで多くの場面で、体重測定結果などを考慮して都合のよい振り分けをしてきましたので、今日は自分への警告のつもりで書いています。
せっかく、データを集めて検証するのであれば、信頼性の高いデータがよいに決まっています。
今日は、全国のクワガタ飼育研究者にどこに出しても恥ずかしくないデータを取って頂きたく発信した私からのメーセージでした。
  
この3月は読者に伝えておきたいことを書き残せたので、しばらくWeb活動を控えようと思います。
新年度からの自分を取り巻く環境を考えてみる時、今しか出来ない優先順位の高いものがたくさんあります。
若い時なら情熱でガンガンに行けるのでしょうが、中年は無理をせずに行くのが、長続きの秘訣かと・・・。
休止するのではないので、たまに覗いて頂ければ幸いです。
[ 2010/03/28 22:32 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)

情報の信頼性

ブログ時代となり、誰もが手軽に日記風のホームページを持てるようになりました。
これにより、同じ趣味を持つ者同士がより広い範囲で情報や思いを共有し合うことができるようになり、楽しみも広がっています。
また、傍観するだけの人にも見えない共感の輪が広がっていることでしょう・・・。
ブログは、自由な論調で自由な意見を展開でき、自己主張したい人や自分の思いを他人に伝えたい人には最適です。
ちょっとした評論家気分を味わっている人もいることでしょう・・・。
しかし、調子に乗りすぎると、悪気はなくても誤解を招き、思わぬトラブルとなるため、文章表現や他からの引用の際には充分に注意をしないといけません。
共感の輪が反感の輪とならないように!

一方で、言論の自由とは言え、曖昧な情報を発信するのはいかがなものでしょう・・・。
よそから持ってきた情報を横流しして間違っていた場合、だれが悪いのでしょうか?
ブログを読んだ人が、その情報を取り入れるかどうかの取捨を行い、各人の責任で取り入れるのが基本だと思います。HPなどでは「管理人は一切の責任を負わない旨」の注意喚起がされているのをよく見かけます。

しかし、少しでも信頼性の高い話題を提供したいと考えるのが心ある人ではないでしょうか?
情報を発信する際、データによる根拠を持たない例や推論だけであまりにも飛躍した結論に到達する例を見かけますが、いかがなものかと思います。
例えば、「夏場はクワガタへの水分補給の点から水分含量の多い液ダレするゼリーがよい」とか、「夏場の常温管理は、熱伝導率の高いガラスが適していて、ボトル内温度はプラとガラスでは3℃以上の差が生じる」とか、「昆虫にとって重要な成分トレハロースを与えることで大きくなる」とか・・・。
一見どの説明も理にかなっていそうなもので、普通はそのまま信じてしまいます。
しかし、検証してみると、どれも間違いであることがわかります。
要するに、情報の信頼性は、根拠があるかどうかで決まり、さらにはその根拠となったデータの信頼性に左右されると言っても過言ではありません。
何事も根拠があれば、説得力があります。
なければ観念論にすぎません。

ただ、上記の例のように、背景因子が決まっていて、測定機器で数値化できるものは、より正確な根拠となり得ますが、幼虫飼育を検証するとなると、相手が生き物であるため、個体差と言う厄介な背景因子によって正確な検証が難しくなります。
そこで、少しでも信頼性の高いデータとするために、基本的なことを確認しておきたいと思います。
つづく・・・。
[ 2010/03/23 00:06 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)

バクテリア説への批判

少し前、産卵木から幼虫で割り出す理由についてオオクワガタ飼育のスーパーテクニックからも引用して書いたところ、読者より興味深いお話を教えて頂きました。
産卵痕に詰められている木屑に母親♀からの有用バクテリアの受け渡しがあることを示唆する記述について、パソコン通信時代に某昆虫フォーラムでもかなり議論されたそうなのです。
私がこの世界に足を踏み入れたのは2003年頃で、パソコン通信なんてものもしたことがないため、知る由もありませんでした。
当時は、バクテリア説を発表したK氏に対して批判的な輩がいて、かなりの攻撃を行なっていたことも事実のようです。
どこにも批判のための批判をする人はいますが、たいていの場合、充分な根拠も持たずに言っていることが多く、この例もそんな気がします。
当時の対抗勢力が根拠としているものは、「取り出した卵を洗浄して保管していても、母親♀が作った木屑と一緒に保管しておいた卵との孵化率に有意差はなかった」という検証結果です。

しかし、この検証過程はおかしくないですか?
そもそも卵は、内部環境を外界から守るための特殊な殻を持っていて、酸素は通しますが、異物は通さないようにできているはずです。
卵は、酸素、適正な温度、水分があれば孵化すると思いますが・・・・?
そもそも、有用なバクテリアの受け渡しの意味するところは、孵化した幼虫が最初に食べる木屑によって親♀から子へのバクテリアの継承が行なわれるということです。
そして、そのバクテリアが、以後の子における健全な消化吸収システムの発育に関与しているのではなかろうか?もしそうなら、そのバクテリアによって初2令時の順調な発育が得られ、死亡率や成長不全率の低下、3令時最高体重や平均羽化サイズの増大をデータの上で有意差として示せるのではないかと私は捉えていました。
ですから孵化率を比較したデータだけでの批判には、正直言ってあきれました。
では、洗浄して孵化した幼虫と木屑の中で孵化した幼虫をその後も同じ条件で飼育比較してあるのでしょうか?
そのうちに私も比較検証してみたいものです。
[ 2007/04/27 16:05 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)

比較データについて考える

いつも飼育法に対して「根拠」を示すことを提唱していますが、なかなか難しいものです。
それは、アプローチを間違えると万人を納得させる結論が得られないからです。
今日は、インフルエンザワクチンの例を挙げてみましょう!
近年、小児や高齢者でインフルエンザ死亡例が増えたことからワクチンの接種が盛んとなり、高齢者には自治体が補助を出しているほどです。
恐らく一般の人々は「インフルエンザワクチンには予防効果があり、接種しておけば例え発病しても軽症で済む」と思っておられるはず・・・。
一方で効果なしのデータもあります。
約20年前のデータになりますが、ワクチン接種率70%以上の群馬県伊勢崎市と集団接種を中止した群馬県前橋市で小学生の欠席率を検証したところ、接種率の高い方が欠席率が高く、その他2~3地域の比較でも差は出ていません。
では、高齢者に効果ありとする厚生労働省が根拠としているものは何なのでしょうか?
それは1999年に研究班が実施した老人施設入所者調査です。
接種希望者は比較的元気な人、希望しなかった人には接種もできないような弱った人も含まれていました。要するにワクチンの効果を比較したのではなく、元気な人と衰弱した人を比較している訳です。
前置きが長くなりましたが、私が幼虫飼育において比較しておきたい項目に次の3点があります。
① 初2令時に使用する菌床の粒子の粗さによる差異。
② 初2令時の温度環境による差異。
③ 2本目へのビン交換時期の違いよる差異。

世間では、ガイドラインのように初2令時には微粒子菌床が適し、初2令時の温度は食いがよくなる26~27℃の高めがよく、2本目への交換は引っ張りすぎずに60~75日がよいと言われます。
果たしてどうなのでしょう・・・・?
インフルエンザワクチンのように皆が思い込んでいるだけで、差が出ないかもしれません。
誰もを納得させられる根拠を示すためには、下手な検証はできません。私のところでは、9月上旬から割り出しが始まります。
どうやってキチンと比較しようかを現在検討中ですが、それだけで楽しくてたまりません。
例えば微粒子と粗め菌床の比較群に何を使うかと言う場合、当初は粗めの製品を購入し、対象群の微粒子はその粗め菌床をミキサーで粉砕して作製すれば、原料は全く同じになると考えました。チタンの刃が付いたミキサーも購入しましたが、よくよく考えると粉砕時の熱や衝撃で菌糸が壊れていくのでは?との考えも・・・。また、たくさんの均一な微粒子を作製することも難しくバラツキも大きくなります。
結局、EXCEED CRAFTさんのLEVINとLEVIN-Gを自身の手で同じ容器に詰めて検証してみることにしました。
今年は、80mm一直線の予定でしたが、どうしても研究心というか遊び心が出てしまいます。
なかなかトップブリーダーにはなれそうにありませんネ。^^;
[ 2006/08/16 22:04 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)

サプリメントと菌床添加剤

先日、クワガタ雑誌の広告にコエンザイムQ10配合昆虫ゼリーというのが載っていました。
何にでも効果がありそうなイメージを持たせる補酵素コエンザイムQ10を配合することで「オオクワガタにもよい」とのイメージで販売促進を狙っているのでしょうが、果たして昆虫にも効果はあるのでしょうか?
最近は、自己努力をせずに、サプリメントに頼った健康法やダイエットが流行し、健康食品は超3兆円産業とも言われるほどです。テレビ、雑誌による効くイメージのインパクトが強く、医薬品並みの効果を期待する人も少なくありません。
しかし、特定成分の過剰摂取による健康被害が出ていることも事実ですし、各商品が高価であるため、経済的被害も相当あるようです。
その原因は、科学的根拠に基づくのではなく、コマーシャルや業者が作り出すイメージに基づいていることと、複数の摂取で相加的な効果を求めるところにあると思われます。
私は仕事柄、サプリメントを調べることもありますが、おかしな話もいっぱいです。
例えば、コラーゲンはお肌によいと言っても、分子量10万もあるタンパク質がそのまま吸収されるはずはなく、消化吸収されたものが皮膚まで行ってコラーゲンに合成されるということにはならないでしょう。また、カテキンには抗酸化作用や殺菌作用があってガン予防になるとの話があります。しかし一方で、カテキンはいくつか結合してタンニンからタンニン酸となりますが、そのタンニン酸にはタンパク凝固作用があると言われたり、カテキンにはDNAを損傷するとの研究結果もあるほどです。このようにある側面だけ見て、全体を見ていないことがほとんどです。
今日は、クワガタとは違う世界の話題を採り上げましたが、実はクワガタ飼育にエビデンス(根拠)を求めるようになった背景には、以上のようなことに遭遇したことがあります。
実際に、菌床飼育の際に使う添加剤にも上記サプリメントと同じような側面があるのではないでしょうか?
例えば、各添加剤に栄養価、吸収、効果面などにおいて科学的根拠は示されていません。また、栄養素ではなく菌糸を活性化する成分との部分的な見方はあっても、通気性が悪くなることや菌糸の酸素消費量が高くなることなどを考慮していない人もたくさんいます。
それに色々な種類を並べられると、「あれこれ試してみたい」「他人とは違う独自の配合を見つけたい」と思ってしまうのも仕方のないことでしょう。
いつのまにか添加量や添加する種類が多くなることで、効果よりも弊害の方が強く出る場合もあり、まさに夢をみるサプリメントと同じことになっていると思うのは私だけでしょうか?
業者は、多種類の添加剤を売らないといけませんからこれからも効果判定はしないでしょう・・・。
効果を示せないのかもしれませんが、効果判定すると一番よいものしか売れなくなりますから・・・。たくさんのブリーダーが、同じ血統、同じ環境、同じ菌床で添加群と無添加群のデータを採り、それを集めて検証すればそれがエビデンスとなりますが、各人が独自の路線を歩む現状ではそれも難しいことでしょうね!
それに、添加剤の話は何と言っても「企業秘密」が合言葉ですから!(笑)
ただ、判っていないから面白いとの見方もできますけどね!!
[ 2006/07/24 22:09 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)

データの落とし穴

今日は違う角度からのお話を・・・・。
インフルエンザ特効薬としてタミフルと言う薬剤があることは誰でも知っています。しかし、日本でどれだけ使用されているかを知っている人は少ないでしょう・・・・。
過去5年間の日本での処方量は約2400万人と言われ、実に全世界の75%をこの小さな1国で使用した計算になります。
しかし、一方でこんな報道もあります。
「タミフルは服用後に少年が異常行動をとり、2人も死んだ危険な薬です。」
日本のマスコミの悪いところは、悪い部分だけ取り上げて全体観としての評価をしないことです。2名の死がタミフルによるものと断定できるかどうかもよくわかりませんが、インフルエンザからインフルエンザ脳症を引き起こし死亡した方は昨年だけでも8名にのぼります。タミフルを使用していなかったらこの数字はもっと多くなっていたことでしょう・・・。現実問題として考えても、2400万人にも使って死亡が2例であれば、医薬品の性質上これほど安全な薬剤はないと言えるかもしれません。
たしかに、未就学児などの小さい子供に使用すると異常行動を示す例も多いようですが、異常行動が即、死につながる訳でもありませんし・・・・。
また、数年前に漢方薬「小柴胡湯」の副作用として間質性肺炎が大きく報道されました。
その時は、88例の報告がありましたが、使用者は約100万人。
それに対し、C型肝炎の治療に使用するインターフェロンαは約9000人に使用して16例の報告があるようです。
これを割合から見ると実にインターフェロンの方が40倍も発症頻度が高いことになり、背景を知らないと実数だけで正しい評価はできません。
今日は、医薬品の恐い話になりましたが、死亡例の背景には、医師が検査を怠たったり、患者が通院していなかったりして適正に使用されてないことも要因として挙げられ、使用者側の使い方ひとつでよい薬も危険な薬となってしまう可能性があります。
前置きが長くなりましたが、菌床実績にも似たようなことを感じています。
使用者側の使い方で実績が大きく異なること!
業者の80mmオーバー実績などは使用者数がわからないので、割合から判断できない!
羽化実績だけが公開され、羽化不全率、死亡脱落率は非公開のため安全性が全くわからないこと!(こんな実験や統計がないとも言えますが・・・)
幸いにもHPを開設したことで、たくさんの読者の皆様より情報を頂き、品質面、安全面ではある程度淘汰できました。
今年は、大型2血統を使って、私の使用環境の中で30gオーバー幼虫発現率の高い菌床探しをしたい思いで一杯です。
話は変わりますが、各菌床メーカーの年間出荷量を調査して報告したり、読者アンケートによる使用菌床ランキングを発表したりする雑誌があるとおもしろいと思うのですが・・・・。
[ 2006/04/14 22:47 ] 情報への疑問 | TB(-) | CM(-)
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