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反転用ディスクを用いたセミ化幼虫救済への試み

新元号となりました!
令和元年初日の思い出に、私らしい記事を書いてみました。

昨年11月頃から反転用ディスクの研究をしていました。
穴の大きさ・数が内部酸素濃度に与える影響や反転用ディスク使用時の内部水分量への影響についてです。
ある程度は分かって来ましたが、まだデータ不足のため今年も継続して研究項目とします。

それは、それとして、実験終了後のサンプルボトルを活用してみましたので紹介します。
3月末の観察で、菌床面まで出てきてしまいどうやってももぐらない幼虫が♂と♀で1頭ずつ見つかりました。
こうなってしまうと、高い確率でセミ化し羽化は望めません。

そこでひらめいたのが、上記実験終了後の菌糸ボトルです。
2018年10月6日の記事で紹介した底に穴を空けて菌糸を詰めたボトルです。
800ボトル、1400ボトルが2本ずつありましたので、反転用ディスクはそのままでセミ化しそうな幼虫をあえてボトルの底穴から投入!
これなら、菌床表面に出ようにも出るところがないため、上手く行くのではないかと考えました。

4/6に投入し、本日確認したのがこの画像です。
まず1400の♂の状況です。
IMG_8516.jpg
写真を撮るためにフィルターを外していますが、上部の穴は通気性のある素材で塞いでいました。
上下から酸素を供給して酸欠による暴れリスクを軽減するためです。

下部のフタをとると中はこうなっています。
IMG_8517.jpg
自作のディスクをはめています。

そして結果です。
IMG_8514.jpg
お尻の部分にシワが現れ完全に蛹化モードに突入!
羽化するかは分かりませんが、セミ化を脱出できました。

一方、♀でも同じことを実施しましたが、本日の観察ではこうなっていました。
IMG_8520.jpg
うまく蛹化させることに成功!
この画像も底穴ボトルであることを示すためにフィルターを外して撮影しています。

ちょっとした発想が、功を奏しました。
完品で羽化すれば、この方法の有用性が示されるのですが・・・。
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[ 2019/05/01 00:00 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(2)

幼虫飼育環境の酸素濃度について考える-最終回-

今回は、飼育環境を考えるシリーズのキッカケとなった事例を紹介し、補足を加えて終わりにします。

読者からの問い合わせメールがキッカケですが、それは二酸化炭素濃度モニタリングにより冷やし虫家ライトの通気口を検討した内容でした。
概略は、上下に1ヶ所ずつ直径3㎝の穴を空け、自然対流を期待したものの思うような結果とならず、通気口にファンを設置することで良好な結果が得られたという内容でした。
様々な工夫で飼育結果の向上をめざしている姿に感動しました。

自作温度管理空間にも共通して言えることですが、通気口をどこにどの程度確保するかは難しい問題です。
ハッキリ言って中の管理量によって異なるため答えは一つではありません。

私の自作空間を紹介してみますが、こんな感じで問題ありません。
ファンとかは不要です。

自作虫家通気口

この通気口は直径約4.5㎝(外部は約5㎝)です。
内部はこんな感じです。
この画像は、棚が通気の邪魔をしているように見えますが、もう少し右に寄せて使用するため問題ありません。

自作虫家内部

各段に800ボトルであれば4×5=20本、1400ボトルでは3×4=12本入ります。
このように底部に空間を設けて対流しやすいようにしていることも多少は好影響と考えていますが、検証はしていません。

本日は、通気口を空けた例を紹介しましたが、前扉に隙間を確保することでも簡単に対応できます。
みなさんも難しく考えず、ちょっとした工夫で対応してみられたらいかがでしょうか?
[ 2018/11/12 00:13 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)

幼虫飼育環境の酸素濃度について考えるⅦ-冷やし虫家内の酸素濃度-

2016年5月13日のブログ画像を引用します。

冷やし虫家800×30day7

この中には、幼虫未投入の800ボトル30本が入っています。
この実験では気温20℃程度だったと思いますが、設定温度は24℃でファンはそれほど頻繁に稼働していませんでした。
一方、内外の温度差が10℃近くあるような環境であれば、ファンが頻繁に稼働するため、ボトルが30本でも18%くらいにはなります。

要するに冷やし虫家を密閉して使用する場合は、ボトル投入量と虫家稼働率で内部酸素濃度は変動するということです。
例えば、800ボトルを20本に減らし、頻繁に稼働する環境であれば20%近い数値を示します。

定期的に虫家の扉を開けて喚起するという話を耳にしますが、1時間もすれば低値になるため現実的ではありません。

ではどうするか?
簡単です!
扉に物を挟んで隙間をつくってやればOK!です。
私が使っているのは、このようなマグネット!

隙間確保マグネット460
マグネット厚み460

これを冷やし虫家の扉に挟んでみると・・・

冷やし虫家TF酸素確保1-1

冷やし虫家TF酸素確保1-2

これだけで十分な喚起が得られます。

もし、手元にあるマグネットが薄いとか、ボトルを目いっぱい入れて喚起が心配といった場合には、次のようにマグネットを移動させることで隙間を簡単に広げることも可能です。
冷やし虫家TF酸素確保2-1

冷やし虫家TF酸素確保2-2

幼虫飼育の落とし穴は、温度管理を厳密にしようと管理空間の気密性を高めることだけに気をとられてしまうことです。
必要なものは供給してやるべきではないでしょうか?
酸素濃度が高い方がよいと思われる方は、冷やし虫家の扉に何かを挟んで使用されてみてはいかがでしょうか?
[ 2018/11/01 00:13 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)

幼虫飼育環境の酸素濃度について考えるⅥ-ボトル内酸素濃度に関する補足2-

ボトル内酸素濃度の話題は終わらせたつもりでいましたが、補足を思いつきましたので少々・・・

これまで、ボトル内の酸素濃度に影響する因子として通気口やボトルの形状、詰め方などを挙げていましたが、もうひとつ添加剤の濃度もありました。

4days.jpg

これは、2016年5月7日のブログ記事から引用しましたが、15年前に行った実験です。
詳細は覚えていませんが、右から市販ブロックのまま、真ん中は5%麦芽添加、左端では10%だったか15%だったか麦芽を添加しています。
同じ菌床に対し上記のように添加剤濃度を変えて観察!
詰めてからは約24℃で管理し4日目がこの画像です。

左のボトルから判断して、添加量が増すとビン底まで酸素が到達しにくく菌糸も活動できていないことがわかります。
結局、このボトルは菌糸の勢いがないためにカビだらけになりました。

そこで思いついたのですが、先日のBDの効果判定にこの高添加ボトルが使えないでしょうか?
ビン底のガス環境の改善具合を実験できるかも・・・?

今日は、ほんの余談でした。
[ 2018/10/30 21:33 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)

幼虫飼育環境の酸素濃度について考えるⅤ-ボトル内酸素濃度に関する補足1-

前回までは、ボトル底部にフィルムケースで空間を確保し、そこを幼虫が存在する仮想空間に見立て酸素濃度推移を追いかけてみました。
当然のことですが、ボトルのフタの通気性に相関して仮想空間の酸素濃度は高くなります。
そのため、フィルターの材質を通気性のよいものに変更する、通気口の穴の直径を広げるなどの工夫によりボトル内酸素濃度を高めることは可能です。
しかし、それをやり過ぎれば菌床の保湿性が低下し、菌床の乾燥が幼虫の成長あるいは菌糸の活動に対しマイナス要因として働く可能性があります。
どこでバランスをとるか?まだまだ検討の余地があると思っています。

せっかくなので、今日はひとつおもしろい現象を紹介します。
ボトル内の通気性を最大によくするには、フタを外すのが一番です。
ちなみに前回紹介した800ボトルの場合を例に取ると、安定状態で底部酸素濃度18.0%のボトルのフタを外し24時間経過すると19.5~20.0%まで上昇することを確認しています。
実際にビン交換時の手順を紹介するWeb情報の中には「ビン交換直後から幼虫が落ち着くまでの2~3日はフタをせずにティッシュなどで覆い通気性を確保する」旨の記載を見かけることがあります。
このWeb情報は一見理にかなっているように思えますが、私は疑問を持っています。
なぜかと言うと、再びフタをした後に急激に定常状態以下までボトル内酸素濃度が低下するためです。
フタを外して酸素濃度19.5%以上になったボトルに再びフタをして24時間後に測定してみたことがあります。
驚くことに16.5%まで低下していました。
そのタイミングでしか確認していないため、もっと低値を示すタイミングがあるかもしれません。
この現象は、フタを外すことで酸素が多く供給され、菌糸は活性化しその酸素量に見合った活動を行うようになり、ボトル内の酸素消費量が増大しているところにフタをしたためではないかと推察しています。

以上の結果から、ビン交換直後にフタを外して通気性をよくする手法は、必ずも幼虫にとってよいこととは言えないのではないか・・・と疑問に思います。
しかし、上記手法による一時的なボトル内酸素濃度低下が幼虫に悪影響を及ぼしているかどうかも証明できていないため、明言も避けたいと思います。

余談となりますが、ボトル内酸素供給に関する一般的な思考の中に「微粒子菌床より粗いオガの菌床の方が通気性がよい」と言うものがあります。
果たしてそうでしょうか?
確かにボトルに詰めてしばらくの間は、粗目の方が通気性はよいことを確認できています。
しかし、時間が経過すると差はなくなってきます。
おそらく、オガとオガの空間を菌糸が埋めることで通気性が悪くなるのではないでしょうか?
これらの例からもわかるように、オオクワ飼育の手順の中にもまだまだ根拠に乏しい情報があるのではないでしょうか・・・。

本日までボトル内部の酸素濃度にスポットを当てて論じて来ましたが、オオクワ幼虫飼育におけるボトル内部の環境整備は、重要な項目と考えています。
しかし、プラス要因とマイナス要因をどこでバランスをとり、最高の飼育法に結びつけて行くためには、まだまだ研究の余地が残されています。

今回は幼虫を投入していない状態でのデータであり、幼虫が居ればまた違った結果となる可能性があります。
そのため、私の今回の実験も適正かどうか疑問ですが、今回のアプローチがより真実に近づけるキッカケとなれば幸いです。
ここを読まれたブリーダーのみなさんが、当たり前と思うような手法や現象に疑問を持ち、より優れた飼育法を発見されることに期待します。

ボトル内部の酸素濃度については今回で終了し、次回はそれを取り巻く環境の酸素濃度について考えてみますが、結論すれば日常空間の21%をめざせばよいのではないでしょうか・・・。
[ 2018/10/16 06:05 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)

幼虫飼育環境の酸素濃度について考えるⅣ-ボトル内酸素濃度推移と形状による差異-

前回は、菌糸ボトル内の酸素濃度測定方法を紹介しました。
今回は、菌糸ブロックを空ボトルに詰めてからの経時的な酸素濃度推移とボトル形状による差を紹介してみます。
この実験に用意したものはこのようなものです。

酸素測定ボトル比較

右2本は通常の800ボトル、左端は800ボトルよりは口が狭く少し深い850ボトルです。
800ボトルを2本準備したのは、フタやフィルターを変えて比較するためです。

まずは、800ボトルの菌床詰め後の経時変化です。
24~25℃管理下では、詰めた直後から菌糸活性が高まり多くの酸素が消費されるため、10時間前後までは一気にボトル内酸素濃度が低下することを確認しています。
これまでの幾度かの実験で最低値は9時間前後に訪れ、その時点では12%前後となることを確認していますが、画像が残っていませんでしたので、12時間後→5日後→7日後の測定結果を示します。

◆12時間後
PP800_12hr.jpg

◆5日後
PP800_day5.jpg

◆7日後
PP800_day7.jpg

これ以後は、ボトル内酸素濃度は18%台で安定しましたが、この実験ではオガを柔らかく詰めています。
ハンドプレスで少し固く詰めても1%以上の低値を示すことを確認しています。
近年の高性能プレスマシンを使えば酸素供給量は恐ろしく低下することでしょう・・・。
固く詰めすぎると、死亡率上昇、大きくならないなどの現象がブリーダーによって実証されていますが、酸素要因も関与していると思います。

では、形状やフィルター構造の異なる850ボトルではどうでしょう・・・。

◆12時間後
PP850_12hr.jpg

前回、「驚きの事実」と書いたのはこのことです。
まさかこんなに酸素供給能が低いとは・・・

◆2日後
PP850_48hr.jpg

5日後がなかったため2日後を掲載しましたが、12時間後に比べるとかなり回復していました。

◆7日後
PP850_day7.jpg

これでほぼ安定し、以後15%を超えることはありませんでした。

最近では見かけなくなった850PPボトルですが、①口が狭い②フィルターの通気性が悪い③ビン底までが800ボトルより深いなどの要因が重なるとこれほどまでの差が出ることがわかります。

以上の実験は2008年に行ったものですが、当時自分なりに納得したエピソードを紹介してみます。
2004年にマツノインセクトから84mmを超える久留米産が昆虫フィールドに掲載され、菌床「オアシス」が脚光を浴びることとなりました。
ただし、高額であるためなかなか庶民には大量使用が厳しい状況でしたが・・・。
私も使ってみたい思いに駆られ2006年に購入しましたが、その際に1本目として850PPとマヨビン1000のどちらがお勧めかを松野店主にメールで質問しました。
回答にはこう書いてありました。
「自身だけでなくお客さんのところの成績をみても、なぜかはわかりませんがマヨビンの方がよい結果です。」
その時は、私もなぜだろう・・・と思案しましたが、2008年のこの実験結果が答えではないかと思っています。

酸素供給の重要性を認識した私は、他にもフタやフィルターの差異による内部酸素濃度への影響も研究してみました。
[ 2018/10/11 00:12 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(2)

幼虫飼育環境の酸素濃度について考えるⅢ-ボトル内酸素濃度測定-

大気中の酸素濃度は約21%、ではボトル内はどのくらいなのか?
そんな好奇心が、沸々と湧いてきたのが10年前!
自由研究のために酸素濃度計を購入しました。

酸素濃度計

計測機器を手に入れたものの、どうやってボトル内の酸素濃度を測ればよいのか・・・・
思案の末、センサー部分を差し込めるだけの穴をボトルの底に空けることにしました。
そして、菌床を詰めてある程度の空間を確保するために次のような方法を思いつきました。

酸素測定ボトル1

最近では見かけなくなったフィルムケースです。
菌床を詰めてからフィルムケースを抜き取るとこうなります。

酸素測定ボトル2

酸素測定ボトル3

通常は穴をビニールテープで塞いでおき、定期的にはがし手際よく瞬時に内部酸素濃度を測定します。

酸素測定ボトル4

この18%という数値は、酸素濃度21%環境に保管した時の値です。
ボトル周囲の酸素濃度が低下すれば、相対的にボトル内部濃度も低下するため注意が必要です。
よって、冷やし虫家に限らず、ボトル管理空間の酸素濃度の確保が極めて重要になると考えています。
ただし、何パーセント以上を維持できれば幼虫の成長に影響が出ないかを知ることは難しいため、できる限り21%に近づけておきたいと考えています。

次回は、菌床をボトル詰めした後から菌糸が回って安定するまでの内部酸素濃度の変化と異なる形状のボトルでの比較結果を紹介してみたいと思います。
予想もしなかった驚きの事実も紹介しますので、お楽しみに!
[ 2018/10/06 21:25 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)

幼虫飼育環境の酸素濃度について考えるⅡ―影響因子に関する補足―

今回の酸素濃度シリーズ開始の動機は、冷やし虫家の通気性を確保する方法について問い合わせを受けたことにありますが、オオクワ幼虫飼育における本質は、温度管理空間ではなく菌糸ボトル内の酸素濃度にあります。
勿論、菌糸ボトル内の酸素濃度はその管理空間の酸素濃度に相関するため、全体の要因を考慮する必要がありますが、いくら管理環境の酸素濃度を確保できても肝心のボトル内の酸素濃度が低下してしまっては意味がありません。
そのため、少し遠回りとなりますが、全体を把握しながら話を進めたいと思います。

前回はオオクワ幼虫を飼育する上で酸素濃度に影響を与える因子を列挙してみました。
それらを少し補足すると、オオクワ幼虫は成長とともに酸素消費量が増加し、菌糸も常に酸素を消費して生命活動を維持しています。
さらに、管理温度も影響し、それぞれが活発に活動できる温度帯での酸素消費量は増大します。

次に環境要因を考えてみましょう!
ブリードルームをエアコン管理する場合は、換気もしくは通気口の確保が必須です。
エアコンはコンプレッサーで熱を交換しますが、換気機能は備わっていないためです。
一方、冷やし虫家では、稼働中は換気が行われています。
その事は、私が酸素濃度計を用いて確認済みです。
そのため、設定温度と外気温に差がある時期は、頻繁に稼動するため冷やし虫家の換気能力は高く、逆に内外の温度差が生じにくい時期では換気能力が低下します。
ここは、知っておくべき重要なポイントです!

続いて最重要となる管理ボトル内部の酸素濃度について考えてみますが、これまで私自身が行った実験からもボトル形状、フタの通気口の種類、フィルターの種類、菌床の詰め方、詰めてからの経過時間、管理温度など様々な影響を受けていることが分かりました。
次回は、実際の実験方法、実験結果を交えながら解説する予定です。
[ 2018/10/02 17:48 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)

幼虫飼育環境の酸素濃度について考えるⅠ―影響因子―

今回からオオクワ幼虫を菌床飼育する際の環境酸素濃度について考察してみたいと思います。
まずは、環境酸素濃度に影響を与えると思われる因子について確認してみます。

◇飼育環境内で酸素を消費するもの
 ①オオクワ幼虫
 ②菌糸

◇酸素消費量に影響する因子
 ①幼虫の成長度
 ②管理温度
 ③管理量(ボトル管理数)

◇酸素供給量に影響する因子(冷やし虫家の場合)
 ①稼働率
 ②本体の通気性確保の有無

◇菌糸ボトル内の酸素濃度に影響する因子
 ①ボトル管理空間の酸素濃度
 ②菌糸ボトルのフタフィルターの通気性(素材・大きさ)
 ③菌糸ボトルの形状
 ④菌床の密度(詰め方)
 ⑤菌床の状態(劣化状況など)
 ⑥幼虫の滞在位置

他にもあるかもしれませんが、パッと思いつくだけでも幼虫環境の酸素濃度に影響する因子がこれだけあります。
最高の幼虫飼育環境という答えにどこまで迫れるかわかりませんが、私のこれまでの研究結果を基に仮説も交えながら話を進めて行きたいと思っています。
以前のように勢いよく更新することは難しいと思いますが、地道に更新していきますので、興味のある方は楽しみにお待ち頂ければ幸いです。
[ 2018/09/29 00:10 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)

強制早期羽化について

今日は、強制早期羽化について書いてみます。

現在普及している手法は、2本目へのビン交換直後に管理温度を上昇させて蛹化を促す方法です。

私も近年は、この簡便な方法でチャレンジしていますが、蛹化成功率は50〜60%程度ではないでしょうか?
外観で判断出来ないものは掘ってまで確認していないため、正確な割合は分かりませんが、世間の成功率と比べると低いのでしょう…

ただ、血統によって蛹化スイッチの入り易さに差を生じ、大型化するほど蛹化しにくい印象で、個体差があることは間違いないため、他との比較は難しい側面もあります。
それに加え、孵化から蛹化促進までの期間や管理温度も影響することが予想されます。

昨年は、2本目の菌糸ビンへの交換直後に30℃で管理し、1ヶ月が経過しても蛹化気配のなかったものの一部を発酵マットに移動して32℃以上にしたところ全てが蛹化しました。
このことから菌糸ビンよりも発酵マットの方が蛹化スイッチを入れやすい可能性が考えられたため、今年は最初から発酵マット群も検証してみました。

サンプルが少ないので傾向をつかむためのお試し実験のようなものですが、参考までに紹介しておきます。

条件は、10月1日に初令投入から3〜4ヶ月経過した♀幼虫で17g以上のものを菌糸群とと発酵マット群に振り分け、同じ空間で32〜33℃で管理し40日後に25℃(前蛹モードに入ったことを確認できたものはその時点で25℃)にしました。最終的に70日経過した時点で、外から見えないボトルも全て交換して確認したところ、以下の結果となりました。

菌糸群 10頭
蛹化を確認出来たものが6頭(60%)

マット群 6頭
蛹化を確認出来たものが4頭(66.7%)

この結果だけでは、発酵マットが蛹化促進で優っているとも言えないようです。
昨年発酵マットで上手くいったのは、2回目の刺激がたまたま上手く奏功したのかもしれません。

ただ、今回の観察で面白かったことは、発酵マット群に超短期間で蛹化モードに移行した個体が2頭いたことです。
それらは交換から7日目と9日日目には蛹室を作り始めました。
10/1に交換して10/24、10/26に蛹化、それぞれ11/18、11/20に羽化しました。
このように蛹化促進からわずか23日で蛹です!
一方、もっとも遅かったものは菌糸群にいて、12月7日頃の蛹化で67日を要しています。
12月9日の最終確認時には、成虫か幼虫しか居ないと思い込んでいたため、この蛹は不覚にも潰してしまいました(-。-;
13.8gの立派な蛹でした(T_T)
それは余談として、血統やエサ環境が異なるだけでこんなにもタイムラグ生じるとは予想もしませんでした。
それだけに、強制早期羽化は温度を下げるタイミング、見切って通常羽化に戻すタイミングが難しいと言えます。

羽化個体が固まったら、菌糸群とマット群でサイズを比較してみようと思います。

来年も効率的で成功率の高い強制早期羽化法をめざして、また検証してみようと思います。
[ 2017/12/10 17:34 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)

酸素濃度モニタリング

2014年12月の記事でも酸素濃度を取り上げました。
あの時は、冷やし虫家内への酸素供給を考慮しながら使用していることを紹介しました。

もし、何もせずに閉鎖式温度管理機器を使用した場合、内部酸素濃度はどの程度なのだろう・・・との興味が湧いてきました。
そこで、先日の菌糸詰めのボトルを使用し、冷やし虫家TFで検証してみました。
内部には、菌糸を詰めたばかりの800ボトル30本としました。

菌糸ブロックを一度崩し、2次発菌させる際、詰めてから48時間以内は急激に酸素を消費します。
今回も24時間後の内部酸素濃度を測定したところ13%台を記録しました。

これまでの研究から25℃で管理した2次発菌ボトルは、3~4日後には酸素濃度が落ち着いてくることを確認しています。
菌糸ボトル内酸素濃度

人間の生活空間であれば、安定化後にこの程度の数値(17~18%)を示します。
もちろん、オガの粒子や詰め方による影響はありますが・・・
尚、ボトル周囲の酸素濃度が低下した場合、内部濃度も相関性が認められ、外部環境に応じた数値を示します。

さて、ある程度ボトルの酸素消費量が安定した1週間後の結果がこうなりました。
800×30_day7
(注)冷やし虫家の場合、ファンの回転時は若干の換気が期待できるため、ファンの稼働率によって内部酸素濃度は変動します。

ボトルの内部酸素濃度は、さらに低値です。
やはり、閉鎖空間での温度管理では、酸素供給を考慮する必要がありそうです。
[ 2016/05/13 06:50 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)

幼虫管理環境の湿度

昨年、飼育環境の湿度も確認してみようと思い、最高最低温湿度計を購入し設置しました。
これが、本日の温室内外環境の表示結果です。
温室内環境モニタリング20160211
上の最高最低温湿度計は、センサーを5段あるメタルラックの最上段の中央に設置し、下の最高最低温度計のセンサーは下から2段目の中央に設置してあります。
上下空間の温度差確認の目的で設置していますが、ご覧のように温度差はなく推移しています。

では、本題の湿度ですが、上の温湿度計をご覧ください。
上の10.4℃、55%が、外気の環境です。
一方、下の22.2℃、28%が温室内部の環境となりますが、予想外に乾燥していました。
これまでもずっとこんな感じだったのでしょうが、未測定のため知らないだけだったということです。

さて、どうしたものでしょう・・・。
菌糸ボトルを取り巻く環境が低湿度の場合、ボトル内部にどのような影響があるのか??
菌床の乾燥が早まることは想像できますが、それが直接幼虫に影響するかは不明です。
影響が出るかもしれないし、出ないかもしれない・・・。
もし影響が出るとしても、それまでに蛹化羽化するかもしれない・・・。

そもそも至適湿度がわからない以上、対策の意味が問われます。
すでに加温モードに入った段階ですので、来年の宿題になりそうです。
何かあった時に同じ環境で比較できるよう、左右対称の温室を2台作ったので、来年は一方に加湿器を入れてみようか・・・?
そんなことを考えている今日この頃です。
[ 2016/02/11 16:44 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(5)

酸素濃度の話題

酸素は、一般の生物にとっては不可欠です。
地球上の酸素濃度は20.9%、エベレストの頂上では7~8%と言われています。

人間の許容限界が18%と言われ、そのあたりから頭痛などの症状が出始め、14~16%では脈拍・呼吸数の増加 、吐き気、12%でめまい、筋力低下、10%で嘔吐、意識不明となるようです。

ちなみに物質が燃焼する場合の酸化反応でも酸素が消費されますが、ろうそくが燃える場合のような激しい酸化反応は16~17%で止まり、サビなどの緩やかな酸化反応では0%まで進むそうです。
私が、酸素濃度計を購入した際、最初に行った実験が、ろうそくの燃焼実験でした(笑)
はちみつ2000にろうそくを入れ燃焼させ、火が消えたところでビン内酸素濃度を測定しました。
小さい火の場合は、44秒間燃え17.4%で消え、大きい火になって入れた場合58秒間燃えて16.1%で消えました。

余談が長くなりましたが、古い実験ノートをみると、オオクワ成虫の酸素消費に関する記録が残っていました。
2008年10月1日のことです。
概要を示すと、スタック小ケースに76.5mmのオオクワガタを投入(底面は濡れティッシュのみでマットなし)して密閉し24時間後の酸素濃度を測定。
21.0%→19.4%となり、24時間で1.6%の酸素が消費されていました。
その時、死亡するまで行えばオオクワ成虫の限界値がわかったのかもしれませんが、かわいそうで出来ませんでした。

なぜ、こんな記事を書いたかと言うと、オオクワ幼虫が必要とする酸素濃度限界ってどれくらいなのだろう・・・?
ということがずっと気になっているからです。
少なくとも人間ほどは必要ないと思いますが、あまりに低いと成長にも影響してくるはずですから・・・。

結局、わからないのであれば、通常空間の濃度に近い環境で飼育するに越したことはないと、現時点では考えています。
そこで、私は、冷やし虫家であっても酸素濃度を確認することを怠りません。
虫家内O2濃度

前回記事で、遅れてスタートした久留米幼虫群を冷やし虫家管理としたことを紹介しましたが、1400ボトル9本を入れてこんな感じです。
この濃度を保つためには、勿論ひと工夫してあります。
そこは企業秘密ですが・・・。
[ 2014/12/20 16:46 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(10)

ペアリングに関する考察

今年のブリードに使用した♀は、久留米5頭、能勢12頭です。
考察できるほどのサンプル数ではありませんが、今後のためにメモ書きとして残しておきます。

まず、久留米では新成虫を使用したのは1例のみ!
エバクワさんより譲って頂いた♀52.0mm(12KU122)に対し、Waizu854と7日間のペアリングを実施しましたが、ことごとく空砲で採卵には至りませんでした。
それ以外は、昨年と同じ組合せの2年目交配でしたが、2♀は3日目と7日目に真っ二つ、1♀は事故なく5日間ペアリングを実施できましたが、こちらもことごとく空砲でした。
このような状況の結果、今年の久留米はエバクワさんに種付け頂いた久留米19番のみとなりましたが、先月11番から86.5mmが羽化したため、同配合の2年目ブリードを追加しました。
経験的に2年目♀のペアリングでは事故率が高いことを感じていたため、このペアリングでは♂の顎を縛って5日間おこないました。
その結果、卵は確認できています。
このままふ化してくれれば、今年の久留米は2ラインになる予定です。

今年の久留米事例を実践に活かすとすれば、2年目ブリードを行う場合は、事故予防目的で、♂の顎縛りを行うべきだということです。

次に能勢YGです。
使用した♂は86.7mm、85.1mm、83.7mmの3頭で、使用した♀13頭はすべて新成虫でした。
2週間のセットしても、初令2頭だけのラインや初令3頭のラインもありましたが、空砲ばかりでゼロとなったのは、わずか1ラインだけでしたので、今年のペアリングは大成功と言えるでしょう!

もう少し詳しく説明すると、837には1♀、851には3♀を5~7日間ペアリングしてすべて成功。
一方、期待して使用した867にはがんばってもらい、3/12~5/15の間に9♀と12クールのペアリングを実施してしまいました。
ペアリング期間は5日を基本としましたが、1♀は4日、3♀ほど3日としてみました。
ペアリング♀9頭にはエバクワさんとのコラボも含み、2頭の♀に5日間のペアリングを実施してお送りし、それぞれ25頭と26頭の幼虫が採れたとの報告を頂いています。
この867ラインを考察してみると、偶然かもしれませんが、成績が悪かったのは3日セット群の3ラインです。
1つのラインは、1本目の材をかじる行動もなく失敗と判断し、5日間の再ペアリングで17頭の幼虫を獲得しましたが、他のラインは、1本目空砲→4日再ペアリングして空砲→5日間再ペアリングして空砲でした。
もう一つのラインは、2週間のセットで2頭のみ幼虫であったため欠番として友人に提供しました。

今年の経験からポイントを挙げてみます。
①昨年の監視下ペアリングに比べれば、通常ペアリングで格段に成功率が上がった。
②4日間以上ペアリングした群で失敗例はなかった。
(もっとも産卵の多かった41頭のラインは4日ペアリング)
③♀が新成虫の場合は、♂の顎を縛らなくても事故は発生しなかった。

以上より、来年以降のペアリングは5日基本でよいと判断しています。
また、エサ皿の裏の状況で判断することが話題になることもありますが、ペアリング終了時に必ずも♂♀が一緒にいなかった例も多くあり、それほど気にするポイントではないと感じています。
結局は、適正なペアリング環境下で5日間放置ですべて成功した訳ですから・・・。
逆にこれでダメな例での追加ペアリングは効率が低いと考えてよいと思います。

また、1♂に12クールのペアリングを実施したことはありませんでしたが、これもよい経験となりました。
ペアリングの各クール間の休養期間をどう設定すべきかは難しいところですが、♀から次の♀の間に休みを挟まず連続実施しても成功率に特に影響している印象はありません。

最終的には、個体差が大きく影響するため、本日の記載内容がすべてのブリーダーに当てはまるとは思えませんが、少しでも参考になるところがあればと思い記載してみました。

大切なことは、各人の環境と手法においてデータを収集し、検証しながら常に改善を試みる姿勢ではないでしょうか・・・。
[ 2014/07/03 22:44 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(12)

監視下ペアリングの確実性について

今年は、監視下ペアリングの有用性を検討するため、積極的に挑戦し観察記録を行っています。
空き時間を利用して、最終的に11ラインの確実な交尾を確認できました。

昨年は1ペアだけに監視下ペアリングを行い、簡単に成功したため安易に考えていましたが、最近の結果から確実性に疑問が生じています。

現時点で5ラインでの成功を確認する一方で2ラインの不成立を確認しています。
失敗例では、産卵行動を取り、材をかじり産卵痕を残しますが、中に卵を確認できませんでした。
そこで、失敗例の内1ペアに追い掛け(通常ペアリング3日間)を行い産卵セットしたところ、卵確認に至りました。
このように、監視下で確実な交尾行動を確認していたとしても、成立していない事例が出てくることは、本当に興味深い現象です。
どこに原因があるのでしょう?

交尾回数、交尾時間などを含め、もう少し検証してみようと思います。
私が記事にしたことで、全国でも多くの監視下ペアリングトライアルが行われたと思いますが、おそらく不成立例も出て来ると思われますので、ご注意頂きたいと思います。

[ 2013/05/06 09:35 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)

驚異の死亡率54.3%

このブログを読んだブリーダーからメールが届きました。
血統も腕も申し分ない方からの報告ですが、今まで遭遇したこともない驚異の死亡率ラインが出たそうです。
他のラインと同じように処理してスタートした菌床飼育が46頭らしいのですが、1本目で25本に食痕が出なかったそうです。

結局、ビン交換しても幼虫の影も形もなく、1本目割出17頭中12頭★、2本目割出29頭中13頭★だったとか!
なんと、死亡率54.3% \(◎o◎)/

全国的にみれば、これに近いかそれ以上の経験をされた方もおられるのではと推測します。

こんなラインに遭遇するとガックリですねぇ・・・。
このラインは、能勢YGですが、血統的には決して濃くなってはいない配合です。

ちょっとビックリしたので紹介させてもらいました。
[ 2012/12/05 22:05 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(10)

幼虫死亡率に関する考察(補足編)

昨日のブログでは、幼虫の高い死亡率が血の濃さだけでは説明できないことを確認しました。
では、他の原因として虚弱体質のような遺伝的素因が存在していて、それが継承される可能性はどうでしょうか?
私は、以前より少なからず遺伝もあるのではと思っていましたが、これも違う感触を得ています。
そこで、今日は遺伝による継承を否定する事例を採りあげてみます。

そのためにまず、能勢5番の種親♂83.8mm、♀53mmの同腹を含めた飼育経過を確認しておきます。
このラインはマサレッドさんの2010年能勢8番で、27頭が飼育され以下のような経過をたどっています。
27頭→1本目★4頭→2本目★6頭→3本目以降★4頭
このように飼育途中で14頭が脱落し無事に羽化したのは48.1%に相当する13頭だけとなっています。

次に私の能勢1番の飼育経過を確認しておきます。
初令幼虫27頭→1本目で★9頭→2本目★なし→蛹期間★2頭→羽化不全2頭
このように13頭が脱落し無事に羽化したのは51.9%に相当する14頭だけです。

以上のように、この2ラインとも約5割が脱落しています。
当初は、これらはインラインで血が濃くなっていることが原因と考え、これ以上インライン交配を継続することは危険ではないかと考えましたし、周りからもこれ以上はやめた方がよいのではと言われました。
結局、能勢1番早期羽化♀にはインラインを避けて871同腹♂を交配した能勢10番ラインとしましたが、怖いもの見たさで能勢5番は、死亡率の高い上記ラインのインラインとしてみました。
結果は、3本目交換までみて、5番は★なし、10番は3令で♂が1頭★となっただけです。
もし、強弱体質の素因があり、それが遺伝しているのであれば、もっと高頻度で★が出るハズです。
ただ、最終的に羽化するまでを追いかけて検討するべきでしょうし、もう1~2世代後まで累代してみないと隔世遺伝のように継承されている可能性もあり、まだ結論付けることはできませんが、現状では予想外の経過をたどっています。

オオクワ飼育途上ではまだまだわからないことがたくさんありますが、丁寧に一つ一つの事例を検証し、予測される因子を否定し消去していくことも真実に近づいていくためには重要だと思っています。
また、多くの事例を掌握しておくことは、ブリードの幅を広げることにもつながっていくと思います。

それにしても、久留米では遭遇しなかった幼虫の高い死亡率が、能勢YGでは突発的に発現するのはどうしてなのでしょう?
なかなか答えを見つけるのは難しそうです。
[ 2012/12/04 23:11 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(3)

ブリード2012の初令幼虫死亡率と考察

能勢の飼育経過を報告しようと思いましたが、今年は忙しかったため飼育表の管理がおろそかになっており、まずは飼育データの整理から始めないといけないようです。

整理を開始してみて、やっと全体像が明らかになりました。
ブリード2012の初令幼虫割出数は、久留米58頭、能勢125頭の計183頭であることがわかりました。
今更かと自分でも思います。
久留米3ライン、能勢6ラインですべて産みきりと思われるまで産卵させてみましたが、今年は爆産に巡り会うことはなく、全体的に幼虫が採れていません。
各ラインの初令幼虫割出数は下記の通りです。
(久留米)5番16頭、6番16頭、8番26頭・・・計58頭
(能 勢)5番21頭、6番23頭、7番16頭、8番22頭、9番16頭、10番27頭・・・計125頭

この中からオークション、里子等で手放したものは、久留米25頭、能勢24頭となり自己ブリードは133頭でのスタートとなっています。
これから能勢の♂♀比や早期羽化個体数も把握した上で成績について報告しようと思いますが、今日は死亡率について触れておきます。

昨年は、能勢1番が1本目のボトルで3割以上が★となり、今年も死亡率の高いラインに遭遇するのではと心配していましたが、133頭でスタートして1本目で★となったのはわずかに2頭だけでした。
一般的に★や羽化不全率が高い場合、血の濃さによる弊害として説明される傾向がありますが、どうも違うようです。
今年インラインで交配したのは能勢5番と能勢8番ですが、★が出たのは久留米5番と能勢6番での1頭ずつでした。
知人からの情報で、能勢YGアウトラインから3割を超える死亡率が報告されていることから考えても、死亡率が高い場合の原因を血の濃さだけで片付けるのは間違っていると言えるでしょう。

もうひとつおもしろいことがあります。
それは、今年の2死亡例がどちらも菌糸プリンカップで1週間以上一時保管した後に800ボトルに投入していることです。
オオクワ飼育情報の中には、割り出し時の幼虫への傷害による死亡で菌糸ビンを無駄にしないよう、発酵マットなどでの一時保管が推奨されているものがあります。
確かに下手な割り出しをすると上記操作が必要になりますが、今回の結果から判断すると、適切な手技で割り出すことができれば、直接800ボトルに投入した方が効率的です。
また、2死亡例が共に一時保管組であることから、エサに慣れた状態で投入しても★となるものは出てくることがわかりましたので、その意味でも一時保管という行程が必要であるとの根拠も乏しいのではないでしょうか?
ただし、上手に割り出すには慣れと経験も必要ですが、割り出しやすい材の選別、割り出し方、幼虫専用ピンセットの使用など、環境や手技を見直すこともポイントになると思います。
[ 2012/12/03 13:29 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(4)

早期羽化♀の有用性

この1,2年の間に♀を強制的に早期羽化させる手法が普及してきました。
先日紹介したGullさんの超当りラインの♀も早期羽化51.5mmですが、その親♀49.5mmも早期羽化個体です。
ブログ上で早期羽化♀の好成績を見せられると誰もが導入したくなるのは当然のことでしょう・・・。

こんな状況を知るブリーダーの中から「若い♀が好結果の原因でしょうか?」などの質問が寄せられます。
若さが直接の要因かどうかはわかりませんが、強制早期羽化♀にはいくつかのメリットがあります。
1.飼育経過をみて素質のある♀を1年早く繁殖にまわすことができる。
2.2本返しで短期間で成虫にするため、菌床代と管理の手間を軽減できる
3.多少の飼育スペースの確保につながる。
などです。
産卵数が増えると言う人もいますがわかりません。

一方、自然に早期羽化した♀はどうなのでしょう?
一般的に大型化するラインは容易に蛹化しない傾向にあります。
しかし、蛹化スイッチは、ちょっとしたタイミングでも入るため、血統的な背景のしっかりしているラインであれば、自然に早期羽化していても実績を残しているようです。
同腹♀の成績がよければ問題ないと思いますし、そんなラインは、自然早期羽化でも48mm程度はキープしてくるでしょう。

私も今年いくつかのYGラインで強制的に早期羽化させましたが、今年は♂の温度管理に重きを置き、♀は自然早期羽化しても構わないスタンスをとったため、自然早期羽化個体も出ています。
初2令時を高めの温度で管理したことも影響していますが、早いものは5ヶ月未満で羽化しています。
特に能勢の5番と6番が多く出ました。

こうして記事を書きながら思いついたのですが、この5番と6番の早期羽化♀をプレしようと思います。
48~49mm辺りを今日帰宅して確認してみます。
当りを出すかどうかはわかりませんが、来年の即戦力として使えると思います。
♀不足の方は、プレ企画をご検討頂けると幸いです。
詳細は明日ブログで発表しますが、今回は参加資格に制限なしの一般公募の予定です。
[ 2012/11/15 13:00 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(8)

同腹♀による興味深いデータ

あまりパッとしない成績ですが、久留米1番系統のデータを紹介します。
※2012.7.4飼育表を差し替え(1~3は途中譲渡のため欠番)
久留米1番飼育データ
この系統は、久留米854を出した2番系統と血統的な背景は全く同じ配合で、親♀同志が同腹の関係にあります。
サンプルが少ないとは言え、差は歴然で、この1例だけでも♀の当たりハズレを実感できます。
では、次世代で使用した場合はどうなのでしょう・・・?
血統的には同じであるため1番にもよい結果を見込めるのか?はやり実績がものをいうのか?
当たりの確率が違ってくるのか?
簡単には答えはでないでしょうが、毎年心に留めてデータを蓄積して行けば、何れ見えてくるかもしれません。
そんな思いから、1番の♀53.2mmを来年の種親として残しました。

ところで、この1番からは、他にも発見があり、勉強させてもらいました。
昨春の初回ペアリング後の産卵セットで、黒い卵を複数産み付けました。
ダメもとで再ペアリングし、セットしたところ、健全な卵を産み始め、今回の結果となりました。
決してたくさんの卵を産んだ訳ではありませんが、黒い卵の現象に遭遇した際は再ペアリングで回避できる場合があることの実例となっています。
ただ、このような現象での再ペアリングは、産卵数が少なくなる傾向にあるのか、今回は偶然そうなったのか?
私はこのよな些細な事例に遭遇しても、その真相を確かめたくなります。
余談ですが、空砲を連発し、「種なし」又は「♀の生殖機能の欠如」として片づけられる事例に関しても、再ペアリングで回避できる場合があることを知っておいてください。

私の個人的な意見ですが、春先は体内時計の影響などにより交尾行動を起こしても受精嚢への精子の注入がうまくいかないことが起こっているのではないか・・・?
仮説の域を出ませんが、冬眠から覚醒間もない時期で多く遭遇することからそんなことを考えています。

また、♀親のエサとの関係ですが、なんとなくエサ慣れしていない場合は、データがばらつく印象です。
途中での★の割合や羽化不全への影響は、まだよくわかりません。

話はそれましたが、せっかくの機会と思い何点か確認させて頂きました。
ペアリングに関しては、失敗すればすぐにキッパリあきらめるのも一つの飼育法!
しかし、限られた親で頑張る場合は、粘ってみる価値はある!と言うのも私の意見です。
再ペアリングの場合は、経験的にマットを薄く敷いて1週間以上同居させるのがよいと思いますが、同居期間が5日を超えてくるとリスクも増大傾向にあります。
ハンドペアリング回数(交尾時間)と成功率なんてデータも出してみたいと思っています。

まだ86mmは出せませんが、オオクワ飼育の中には楽しみが満載です!!
[ 2012/07/02 00:10 ] 観察&考察 | TB(-) | CM(-)
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