私はブログ記事を書くとき、できる限りデータに基づく姿勢をとってきました。
その点を評価頂けることはうれしいのですが、私が言っていることはすべて正しいと思われていることもあり困ります。
正しいと言い切れない根拠は、私が採用したデータの信頼性にあります。
そもそも個体差の大きい昆虫飼育において、ばらつくデータから一定の答えを出すのは難しいかもしれませんが、人間の臨床データのように、数を集めれば必ず傾向性がつかめるハズです。
そんな個体差を含むこともデータの信頼性を疑問視させる要因ですが、本日のポイントは、データ採取のプロセスにおける信頼性です。
前回の記事のコメントの中で、私の幼虫頭幅データに関する考察は、後ろ向きな検証であると書きました。
まず、データの信頼性(エビデンスレベル)は、前向きな検証が勝ります。
研究者の間では、その試験が過去のデータを基に検証されているもの(レトロスペクティブな検証)とこれから試験計画を立てて実験背景を統一して行う試験(プロスペクティブな検証)に分けられ、プロスペクティブ(前向き)なデータの方が他の要因を排除して比較項目だけを直接比較できるため、信頼性は高くなります。
具体例を示すと、これからオオクワ幼虫の頭幅と羽化サイズのデータを採るとした場合、比較する個体は同腹、同じ菌床、同じボトル、同じ交換サイクル、同じ飼育場所、同じ温度管理、同じ全飼育期間のように背景を決めてスタートします。
一方、後ろ向きにデータを採取した場合、上記の実験背景が異なるところがあり、それがデータの相違に影響しているのではないか?との懸念もしなくてはなりません。
私の頭幅データの場合、菌床も温度管理を含めた飼育条件も大きく異なってはいませんが、背景を完全に統一できていない分、研究者からみれば「甘い!」と言われそうです^^;
また、比較実験の場合、無作為化されていないと信頼性は低下し、途中で私情を挟むこともタブーです。
例えば、元気な初令幼虫を選別して高額菌床に入れるとか、途中の体重で選別して大きいものだけVIP待遇にするとか・・・。
私も毎年少ないサンプルと制約のある飼育環境下でブリードしているため、どうしても選別傾向が出てしまいます。
本日のまとめですが、まだまだ私のデータは甘いと言うことです
^^;
決して嘘をついているつもりはありませんが、まちがいない!と言い切れるだけの自信ある考察ばかりではないことを心に留めておいてください。
これからは、データの信頼性の向上と切れのある考察を目指して行こう思いますので、よろしくお願い致します。
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