前回示した♀強制早期羽化成功例をもう少し詳しく記載するとこうなります。
5/21 初令 HS800
⇒ 8/26 16.7g HS800
(9月から温度を上げ始め9/5~26 30℃)
⇒10/4蛹化
⇒10/29羽化 50.5mm
それに対し、失敗事例を紹介してみます。
(失敗事例1)
5/17 初令 LEVIN-G800
(9月から温度を上げ始め9/5~26 30℃)
⇒ 7/26 14.6g LEVIN-G800
⇒10/29 16.3g
(失敗事例2)
5/17 初令 LEVIN-G800
(9月から温度を上げ始め9/5~26 30℃)
⇒ 7/29 15.2g LEVIN-G800
⇒10/29 16.2g
成功例と失敗例で異なる点は、ビン交換のタイミングです。
HSは菌床の持ちがよいため3ヶ月交換とし、2本目への交換後落ち着いてすぐに加温しました。
一方、LEVIN-G群は70日程度で2本目に交換していたため、交換から1ヶ月以上が経過しての加温となっています。
今回、LEVIN群のビン交換を行わなかった理由は、「ビン交換による体重減少を少しでも抑え、大きく羽化させたい」との下心と「昨年経験した早期に蛹化しやすい能勢の傾向から加温だけでも成功するのでは」との甘い考えからです。
1990年代後半は、低温を経験させる手法が普及しておらず、30℃まで温度を上げて蛹化スイッチを入れる手法が取られていたこともあり、通常はビン交換+27℃くらいとするところを強めの条件設定を行いました。
結果は、見事な失敗!
これには、3週間が加温期間として短かった可能性もあります。
ただ、成功例だけが外からの観察が可能な状態でしたので、成功例で前蛹を確認できた時点で、他の見えないものも24℃環境に移動させていました。
また、失敗例は3本目への交換時に体重を伸ばしてきていることから、まだ成長段階だったとも考えられます。
今回の事例だけでは、確実に強制早期羽化を成功させる条件はハッキリしませんが、少なくともビン交換+加温が必要です。
必要十分な加温期間もハッキリしませんが・・・。
勿論、積算温度の上からも蛹化できるステージまで成長していることは最低条件です。
知人のところでは、強制早期羽化させようとした16g幼虫は次々に成功し、18g幼虫は失敗したそうです。
私は試そうにもそんなに大きな幼虫はいませんが^^; やはり大きくなる素質を秘めた個体は、簡単には蛹化しないとも言えそうです。
♀に限らず♂でも、みなさんが経験し実感されていることだと思いますが・・・。
また来年も機会があれば、もう少し条件を煮詰めてみたいと思います。
最後に一点、早期羽化は小さくても種親としては問題ないとの意見を見かける事があります・
体重で素質を判別して行う強制早期羽化はおそらくそうだろうと思います。
しかし、自然早期羽化は違うのではないでしょうか?
過程をみてもほとんど変わらない飼育期間で、強制早期羽化は50~53mm、自然早期羽化は46~49mmに概ね分布し、すでに勝負はついています。
(この中に入らない場合もありますが、うまい人は強制早期羽化でこの範囲に持ってきます)
きっちり線引きしておかないと、オークション等で小さい理由を早期羽化にされ兼ねませんから・・・。
自然早期羽化個体の中にも素質のあるものがいると思いますが、それを担保できないという意味での線引きです。
スポンサーサイト